条例が禁じる「卑猥(ひわい)な言動」を「社会通念上、性的道義的観念に反する下品でみだらな言動と解釈できる」と判断。その上で「ズボンの上からの撮影でも被害者が気付けば不安を覚える行為で、条例違反は明白だ」と指摘した

カメラ付き携帯電話で背後からズボン姿の女性の尻を隠し撮りした行為が迷惑防止条例違反罪にあたるかが争われた刑事裁判の上告審で、最高裁第3小法廷(藤田宙靖裁判長)は服の上からの撮影でも条例違反になるとの初判断を示し、北海道旭川市自衛官、久未浩司被告(31)の上告を棄却する決定をした。決定は10日付で、1審の無罪判決を破棄し、罰金30万円の逆転有罪とした2審札幌高裁判決が確定する。

 藤田裁判長は条例が禁じる「卑猥(ひわい)な言動」を「社会通念上、性的道義的観念に反する下品でみだらな言動と解釈できる」と判断。その上で「ズボンの上からの撮影でも被害者が気付けば不安を覚える行為で、条例違反は明白だ」と指摘した。裁判官5人のうち田原睦夫裁判官は、ズボンをはいた臀部(でんぶ)はだれでも見られることから臀部を見ることそのものに卑猥性はなく、カメラ付き携帯電話の場合は撮影していることが分かりにくいことから撮影行為に卑猥性は認められないと反対意見を述べた。

 決定によると、久未被告は平成18年7月21日夜、旭川市内のスーパーで買い物中だった27歳の女性を約5分間、約40メートルにわたり付け狙い、背後の約1〜3メートルの距離からカメラ付き携帯電話で、ズボン姿の尻を11枚撮影した。1審旭川簡裁は「後ろ姿全体を撮影しようとした可能性がある」と無罪としたが、札幌高裁は逆転有罪とした。