尼崎談合住民訴訟 最高裁、高裁差し戻し
2009/04/28 12:46
 兵庫県尼崎市発注のごみ焼却炉建設工事の入札で談合し、不当に高い落札価格で市に損害を与えたとして、兵庫県尼崎市の住民が、メーカー6社に損害分を市に返還するよう求めた訴訟の上告審で、最高裁第3小法廷(田原睦夫裁判長)は28日、メーカー側に約5億3000万円の支払いを命じた1審判決を取り消して市民グループの訴えを棄却した2審判決を破棄し、審理を大阪高裁に差し戻した。

2審大阪高裁は「6社の談合の有無が公正取引委員会の審判で確定しておらず、尼崎市に損害が生じたかは不明。公取委の審決が確定していない時点で不法行為に基づく損害賠償請求の必要性があるとはいえない」と判断していた。しかし、同小法廷は「証拠の内容などを検討しなかったのは判決に影響を及ぼす法令違反がある」とした。

 2審判決などによると、尼崎市は平成8年、1日あたり150トンの焼却能力のある焼却炉を指名競争入札で発注。6社がそれぞれ共同企業体(JV)を結成して入札に参加し、約106億円で日立造船などのJVが落札受注。これに対し公取委が談合の疑いがあるとして立ち入り検査したため、市民団体が提訴していた。