ヘリ墜落めぐる情報公開訴訟 “インカメラ審理”認めず 最高裁初判断

2009/01/15
 沖縄県宜野湾市で平成16年、米軍のヘリコプターが墜落した事故をめぐる情報公開訴訟で、福岡高裁が不開示部分を裁判所に提示するよう命じた決定を不服とした国側の抗告について、最高裁第1小法廷(甲斐中辰夫裁判長)は15日、福岡高裁の決定を取り消し、原告の提示命令の申し立てを却下する決定をした。

情報公開請求した男性側は、自らが立ち会わないことを前提に、裁判所に不開示文書を調べるよう求めていた。しかし、同小法廷はこれが事実上、裁判所が非公開で文書を閲覧・見分する「インカメラ審理」にあたるとした上で、「情報公開法にインカメラ審理に関する規定はなく、許されない」との初判断を示した。

 一方、泉徳治裁判官は「新たな立法で情報公開訴訟にインカメラ審理を導入することは立法の裁量範囲」、宮川光治裁判官は「導入に関しては慎重に配慮すべきだが、情報公開制度を機能させるために検討されることが望まれる」などとする補足意見を付けた。

 訴訟は那覇市の男性がヘリ事故をめぐる日米政府間の協議内容の一部を情報公開請求で不開示とされたのは不当として、処分取り消しを求め、福岡地裁に提訴。1審判決は請求を棄却し、男性側が控訴した。福岡高裁は、不開示の当否を判断する上で「文書の細部まで内容を正確に把握する必要がある」として国に文書の提示を命じていた。