道仁会本部も使用禁止決定 暴追運動に追い風 福岡高裁 即時抗告審 再入居の可能性考慮
7月17日

 指定暴力団道仁会本部事務所(福岡県久留米市)と隣接ビル2棟(1棟は解体)の使用差し止めを住民が求めた仮処分申請をめぐり、福岡高裁(古賀寛裁判長)は15日付で、ビル1棟だけを使用禁止とした福岡地裁久留米支部の仮処分決定を変更し、本部事務所の使用禁止も認める決定を出した。この決定は、仮に暴力団が荷物搬出などで「偽装工作」しても司法は認めないとする先例となり、各地で取り組まれている暴力団追放運動の追い風になりそうだ。

 「やっと晴れた気持ちになった」。決定を聞いた住民の男性(39)は胸をなで下ろした。本部事務所は昨年8月に荷物を搬出後、人の出入りはなくなった。しかし「また道仁会が戻ってくるのでは」という不安をぬぐえないでいた。

 地裁久留米支部は3月の決定で「使用が再開されれば、あらためて使用差し止めを求めることができる」として1棟だけの使用禁止を命じるにとどまったが、高裁は住民があらためて行動するのは「過大な負担を強いる」と判断。「道仁会側が再度備品などを搬入して使用する可能性は相当程度ある」とし、本部事務所も禁止対象に加えた。

 住民側の椛島弁護団長は「道仁会のシンボルである本部が裁判所の管理下になることで住民の精神的負担は軽くなる」と評価。「既に提訴した正式裁判にも有利に働くことは間違いない」とみている。

 長崎県佐世保市で、道仁会と対立する指定暴力団九州誠道会の組事務所使用差し止め運動をしている住民の男性も「久留米の決定は私たちの励みになる」と歓迎した。

 これに対し、道仁会側の弁護団は「全国の団体に本部は移転したと告げ、荷物も出しており不当な決定。異議を検討したい」と話した。

 暴力団対策をめぐっては、佐賀県が今月1日、暴力団施設の開設防止を不動産業者などに求める条例を全国で初めて施行。福岡県警も組事務所に使用されることを知りながら不動産を売買することを禁止する条例案を策定中だ。

 高裁の決定は、県境をまたいで活動する指定暴力団への官民連携の「包囲網」に、また1枚、厚みを加える内容となった。

うちの近所のドンパチやってるところも、なんとかしてほしい。